人は起きている時も眠っている時も、鼻から息を吸って鼻から息をだします。喉の奥がつまり(閉塞)これができなくなると、いびきをかくようになす(低呼吸)。もっとひどくなると呼吸ができなくなります(無呼吸)。眠ってはいるのですが非常に低酸素の状態になります。眠りが浅く、覚醒することで呼吸できるようになります。またすぐに眠りますが息ができなくなりまた覚醒します。浅い睡眠と覚醒を寝ている間中繰り返すのですが、朝起きたときは覚えていません。
この状態を閉塞性 睡眠時・無呼吸・低呼吸・症候群(OSAHS=Obstructive SleepApeneaHypopneaSyndrome または睡眠時無呼吸症候群OSAS)といいます
いっしょに寝てくれる人がいればわかりますが。いびきをかいているかどうかは自分ではわかりません。低呼吸であっても無呼吸であっても覚えていません。一人で寝ている方は録音しておくか朝起きたときの口の乾燥で判断するしかありません。
また、症状がひどくなってOSASになったかどうかの診断には耳鼻科で睡眠ポリグラフ(PSG)をとりますが、自分でわかるのは「夜はきちんと寝ているのだが 昼間眠たい」ことです
原因は大きくわけて3つあります。
① 舌の筋肉が緩んで下に下がる
② 喉の奥(軟口蓋)の筋肉が緩んで下に下がる
寝ているあいだも筋肉はある程度緊張して空気の通りをよくしているのですが、酔っ払っていたりまた年齢が高くなると緊張が緩みます
③ のど全体に空気の通り道が狭くなった
原因は太って咽頭周囲に脂肪がついたり扁桃腺など喉の組織がふくれることによって空気のとおりが悪くなります
強制的に空気を送り込む装置(CPAP療法)や軟口蓋をきりとったりする外科的な方法など色々ありますが、どれも患者様に負担が大きくなります。
歯科では下顎を前に移動させ、舌根部を前に移動させ 気道を広げる方法をとります。非常に簡単な方法ですので、これで効果がでなかったときに他の方法を選択すればよいと思います。
① 成形器 (エルコプレス300Tp-ci加圧用のコンプレッサー内蔵型)で上下のプレートを作成します
2mmのハードレジンプレート(Erkocryl 2mm)を使っています
② 患者様上下のプレートを口に入れてもらい、適合をチェックします。あたるところがあれば削合します
③ 下顎を思いっきり前にだしてもらい、引っ込めた位置との距離をはかります。この最大移動距離の1/2(50%)の位置で、口の中で、簡単に接着剤でとめます。その後とりだして何箇所か接着させておきます。患者様に数日間使ってもらうための仮接着です
数日後に装着感(装着して眠れたか?)いびきが止まったかを確かめます
④ 実際に使ってもらって、効果があまりないようでしたら下顎を少し前にだして、同様な処置をします。下顎の移動量は最大移動量の70-80%でそれ以上は効果が変わらなく、単に苦しいだけです。下顎を前方に固定させて眠ることは、最初は相当違和感があります。患者さまが慣れるかどうか話し合いながら、前後の移動量を決めていきます。この方法はミリ単位で移動量を調節することができます。
⑤ 移動量が決定したら 上下のプレートを完全に接着させて完成です
耳鼻咽喉科でポリソムノグラフィー(polysomnography :PSG)を使用し閉塞性睡眠時無呼吸症候群(obstructive sleep apnea syndrome :OSAS)と診断された方にスリープスプリントを装着する方法です。
気道が狭くなり呼吸ができなくなる大きな原因に舌の沈下(喉の奥に落ち込んでしまうこと)が有ります。下顎を前にだして舌を前方に移動させることによって、気道が広げる方法です。
以下の注意事項をお読み下さい
①この方法は口を塞ぎ鼻で呼吸させる方法です、呼吸花粉症などで鼻での呼吸が難しい時は、鼻炎薬等を使用して、鼻で呼吸できるようにしましょう。
②枕を低くしましょう。
枕の高さは低めの物を使用しましょう。5~7㎝位が良いです。
③横向きで寝ましょう。
特にPSG検査でOSASが寝ているときの姿勢と強く関係しているときは守ってください。
仰向けになりやすい方は、抱き枕を抱えたり、背中に座布団を丸めておいたり、
リュックを背負って寝る方法があります。
④他の人にチェックしてもらいましょう。
スリープスプリントの装着をはじめたら、しばらくは監視役として、誰か同室に寝てもらいましょう。PSGでOSASが強く関係しているときは、おおきな目安になります。いびきと寝ている途中スリープスプリントを外してしまうようだったら、入れ直してもらってください。
⑤可能ならば口をテープで塞ぎましょう。
朝起きて喉が痛かったり、カラカラになっていたりするのは、口で呼吸している証拠です。
寝ている時に口を開きやすい時は、2本のテープを口で交差させるように貼りましょう。幅25㎜程の、はがす時に痛くない、紙か不織布のテープがおすすめです。
髭のある方は鼻で呼吸できるまで髭を剃って貼ってください。
⑥この方法は歯と顎関節に影響を与えます。痛みや変化に気が付いたときは御相談下さい
人によりますが顎の関節の圧痛や開口障害が出ることがあります。固定する位置を調節します。また顎の関節のマッサージや温湿布なども効果的です。
歯が痛む場合もご相談ください
スリープスプリントを長期間にわたって使用するには、残っている歯の保存が大切です。虫歯や歯槽膿漏を予防する為、丁寧なブラッシングと歯科医院でのチェックをしていきましょう。
⑦よだれが出る事がありますので、枕元にタオルを用意しましょう。
⑧保管とお手入れ
保管
起床後、スリープスプリントを外して水洗いして、ポリデント等の入れ歯洗浄剤を使用しましょう。熱湯消毒は変形しますのでやめましょう。
足で踏んでしまったり、ペットが咬んで壊してしまう事がありますので、
ケースに入れて保管をしましょう。
お手入れ。
スリープスプリントに異常を感じなくても、3ヶ月~6ヶ月に1度程度は、
定期的に摩耗、破折がないかをチェックしましょう。
超音波にてクリーニングもします。
上記のいびき防止装置は¥33,000です。
耳鼻咽喉科で睡眠時無呼吸症候群の診断を受けた場合は保険適用となります。
¥7,260(3割負担の場合)
その他、初診時には初診検査料が(3割負担の場合で)¥4,000程度かかります。