ここに記載されているデーター、写真等は 「GPのための金属アレルギー臨床」(デンタルダイアモンド社)を参考にしています。具体的な治療法は多少違いますが、基本的に著書の内容に沿った考え方で治療を行なっています。
歯科医院で口の中に入れた金属によって、全身に皮膚症状が現れることがあります。また体の一部に現れることもあります。例えば 背中とか、掌蹠膿疱症のように手のひらと足の裏に特異的に現れるケースです。
背中にアレルギーがでた例です
掌蹠膿疱症 手や足の裏がただれます。
頻度は下記のようです。
アトピー性皮膚炎(31.2%) 接触性皮膚炎(24.7%) 掌蹠膿疱症(10.78%) 痒疹(10.8%) 脱毛症(1.1%) 扁平苔癬(皮膚)(1.1%) 口腔内灼熱感と疼痛(9.7%) 口腔扁平苔癬(4.3%) 口唇炎(2.2%) 舌炎(2.2%) 口内炎(1.1%)
治療は下記の順でおこないます
① アレルギーのある金属を調べる
② 治療内容の決定 料金一覧
③ 金属を除去しプラスチックやセラミックに置き換えます
④ 歯科用金属一覧
① アレルギーのある金属を調べる
皮膚科でパッチテストをおこない、どの金属にアレルギーがあるかしらべます
パッチテストは貼付してから2日後、3日後、7日後に観察してアレルゲンを決定します 遅延型のアレルギーもあるので7日後も必要です。まれにですが、パッチテストで新しく金属に感作してしまうことがあります。患者様にあらかじめ理解を御願いするしかありません
※パッチテスト検査薬参考 金属シリーズ・パッチテスト・アレルゲン(鳥居薬品(株)製)
② 治療内容の決定
下記④歯科用金属一覧にありますように、見た目は同じようにみえてもかなりの種類があります。使われている金属がわからない場合がほとんどです。金やメタルボンド(セラミックを金属に焼き付けたもの)で患者様が除去を望まない場合は金属の分析をおこないます。
以下の点がちょっと気がかりではあります
1. 外注料金がかかります 料金は小倉歯科では1ケースに付き¥5.000です
2. メタルボンドなど露出面積が小さく 金属を採取するのが難しいケースもあります
3. 将来 その金属に感作することもあります
★ 詰める場合
最近、保険で詰めたり被せたりするプラスチックの強度と美しさ(自然感)は飛躍的に向上します。小臼歯まで詰める場合はかなり信頼性が高くなっています
使用しているものジーシーMIフィル
料金:前歯から大臼歯まで同じ料金(3割負担) ¥1200程度
★ 前歯から小臼歯まで被せるもの
保険適応
前歯はHJC(硬質レジンジャケット冠)が適応です。形成はショルダーですが、ショルダー部分をきちんと形成するとかなり強度があります。¥5,000程度
小臼歯はCAD-CAM冠が保険適応です。硬質プラスチックをい削り出すもので、かなり強度があります。¥8,300程度
自費治療
オールセラミックまたはジルコニアをお勧めしています。
★ 大臼歯
保険適応
大臼歯はCAD-CAM冠が保険適応です。ただ、その際に金属アレルギィーであることの医科からの証明が必要です。つまりパッチテストをうけないと適応されません。¥8,300程度
自費治療
オールセラミックまたはジルコニアをお勧めしています。
★ インプラント
自費治療
試用しているインプラントは100%チタンです。他の金属に比較してアレルギィーは非常に出にくいものですが、ジルコニア(セラミック)インプラントのほうが安心です。
1ピース ¥257,100 2ピース ¥301,000
③ 金属を除去しプラスチックやセラミックに置き換えます
金属を除去刷る際は必ずラバーダムシートを使用して、削りカスが口の粘膜に刺さったり患者様が飲み込まないように気をつけます。
被せものを装着するとき、セメントはパナビアを使用します。④歯科用金属一覧にあるように、ほとんどの歯科用セメントには金属が含まれています
パナビアフルオロセメント(クラレ)は金属はSi(ケイ素)のみであとは石英粉です
パナビアフルオロセメント(クラレ)は金属は無く 石英粉とガラス粉のみです
④ 歯科用金属一覧
含まれている可能性のある金属を列記します。具体的には下記のように「GPのための金属アレルギー臨床」に記載されています
金属をつなぎ合わせる蝋材や矯正バンド、入れ歯の鉤などすべての金属が対象になります